http://www.dksh.co.th/htm/771/en_TH/DKSH-Thailand-at-a-glance.htm今週末に予定されている赤シャツ軍団による大規模デモ集会に対して、タイの財界では、タイ経済への深刻なダメージを懸念しつつも、楽観的なコメントも数多く出されています。タイ財界人の現在の心境について、タイの英字紙ネーションがインタビュー記事を掲載しています。
MAT会長であり、流通大手DKSH社のCEOであるソンブーン氏(写真)は、昨年10月以降、タイ経済には回復を示す明るい材料が多く、「全ての経済指標が改善してきており、消費と輸出の回復が顕著である」と話しました。

一方で、「政治的な対立を除けば、タイのGDPは4%から5%の高い経済成長を示すだろう」と述べ、社会情勢の悪化がタイ経済に深刻なダメージを与える可能性があることを認めました。

また、小売大手セントラル・リテール・コーポレーション(CRC)のトス・チラチワットCEOは、「みなさんも御存知の通り、不安定な政治状況を除けば、タイ経済は順調です。昨年4月のバンコクの暴動では大きな被害を受けました。」と述べ、再びあのような事態が起こることを誰も望んでいないと話しました。

さらに、トスCEOは、「タイ人が自らの手で、自分たちを苦しめている」と大規模デモ集会に批判的な見解を示し、政治的な混乱が消費者の購買意欲を下げ、タイ経済を昨年初頭のレベルまで引き戻す可能性があると話しました。また、社会的な混乱により、CRC社の事業計画を変更する可能性も示唆しました。

一方、日立セールス・タイランドのマーケティング部、ブーンチャイ・プタコティラット部長は、大規模デモ集会が平和裏に終わるのではないかと楽観的な見方を示し、「私は、今年のタイ経済は、輸出に牽引される形で、良い方向に向かうと思います。あくまで、政治は政治であり、出口は見えている。タイ人のなかに異なる考え方があるのは確かだが、決して、決裂してしまうことはない。」と話しました。

サイアムセンターなどを運営する小売大手サイアム・チャダティップ社のチャダティップ・チュトラクルCEOは、「何が起ころうとも、タイという国は継続し続けます。タイは、これまでにも様々な不安な時代を乗り越えてきました。」と述べ、今週末に開催予定のデモ集会についても「そうした歴史のなかのひとつのエピソードに過ぎない」と話しています。

家電製品などの製造を手掛けるクルトンキルビー社のスラポーン・シマクルトン社長は、「赤シャツ軍団が暴徒と化せば、タイ経済を大きく傷つけることになるでしょう。多くの国では、安全に配慮し、デモ集会の開催場所には近づかないよう、自国民に警告しています。」と述べ、観光産業への影響を不安視し、「私には、赤シャツ軍団が何を考え、何がしたいのか分からない。ひとりの人間の資産を取り戻すために、あのようなことをやるのですか?もう裁判は終了したのです。」と、赤シャツ軍団を厳しく非難しています。

タイ商工会議所のドゥシット・ノンタナコン会頭は、赤シャツ軍団に対して、ある特定の個人の利益を考えるのではなく、国全体の利益を考えて行動して欲しいと述べ、赤シャツ軍団のデモ行動が「タイのイメージを悪化させ、外国からの投資意欲を下げるだろう。観光産業への影響は深刻だ。」と話しています。しかし、その一方で、政府には事態を収束される能力があるとも述べています。

インド-タイ商業協会のサティシュ・セーガル会長は、赤シャツによる抗議デモが、国外の旅行者および投資家に悪印象を与えるだろうと述べ、サービスに始まり、貿易、製造業、農業へのドミノ的に影響が広がるのではないかと懸念を示しました。

ライオン・コーポレーション・タイランドのブーンヤリット・マハモントリ社長は、週末に開催予定の反政府集会について、ビジネスに確実に影響を及ぼすとの認識を示す一方、政府には事態をコントロールする能力があるとも話しました。加えて、「どういった対応をすべきであるのか分からないので、一切の緊急対応を考えていない。赤シャツ軍団は、民主主義の下で、法律の範囲内の行動を取るはずだ。」と楽観的な姿勢を示しました。