パタヤで活動するレスキュー隊「サワンボリブーン」は、現地の中華系タイ人の支援により組織された中華系慈善団体が保有するレスキュー隊である。今回は、この「中華系慈善団体」というものについて、その全体像を紹介する。
まず、「サワン・ボリブーン」という名称についてだが、「サワン」と「ボリブーン」の2つに分けて説明する必要がある。

「サワン」とは、タイ東部チョンブリー県を中心とした中華系慈善団体の集合体の名称で、チョンブリー県のほか、首都バンコクや東北部イサーン地方(ウドンタニー、ノンカイなど)、タイ南部(ナラティワートなど)、タイ西部(カンチャナブリ)など、様々な地域に支部を持っている。

そして、「ボリブーン」とは、タイ全土に広がる「サワン」のうち、パタヤで活動する支部の名称である。

2010年8月現在、タイ全土にあるサワンの支部は55支部である。この中には、2004年のスマトラ沖地震を契機として設置されたパンガー県の支部など、比較的最近になって設置された支部もある。

ちなみに、サワンの最初の拠点は、近年、日本人の居住者が急増しているシラチャーで、現在でも「サワン・パティープ」の名前で活動している。シラチャー界隈で、背中に「明」と書かれたレスキュー隊がいたら、それはおそらく「サワン・パティープ」のメンバーである。

サワンをはじめタイの中華系慈善団体は、基本的な活動費を中華系タイ人の寄付により賄っている。

例えば、サワン・ボリブーンの場合、今年の最高寄付金額200万バーツを筆頭に、100万バーツ、50万バーツなどの高額寄付を行う人々が50名程度おり、その他に200バーツ前後の小額寄付を行う人々が連日、サワン・ボリブーンの本部を訪れている。

また、お金の寄付だけでなく、レスキュー隊の待機所のテレビや冷蔵庫、日々の食事の差し入れなど、様々な形で「サワン」の運営を支える人々がいる。

中華系移民が地域との関係を深くする手段として設立したのが中華系慈善団体の起源らしいが、これらの組織は、レスキュー隊を中心とした活動によって、見事に地域に溶け込み、中華系移民の存在感を示すものとなっているようだ。