タイ国会では昨日23日から、憲法改正案に関する審議が始まりました。

野党プアタイ党の幹部からは、議論の展開如何では、国会をボイコットするとの声が聞かれましたが、依然として態度を決めかねている議員も少なからずいることから、昨日の審議は目立った混乱もなく終了しました。
憲法改正案を審議する国会の初日、野党プアタイ党の議員らは、クーデター後の臨時政府により改正された2007年憲法が「非民主的」であると非難し、現政府から出されている改正案も不十分であるとして、1997年憲法の復活を求める改正案を提案しました。

7万人の署名を持って国会に臨んだプアタイ党のメタパン議員は、クーデターが発生する度に憲法が改正される悪循環を食い止めるために、一部を修正したうえで、1997年憲法を復活させるべきだと訴えました。

これに対し、連立与党チャートタイ・パッタナー党のパラドーン議員は、国会の承認だけでは1997年憲法の復活はできず、国民投票が必要になると答えました。

一方、アピシット首相は、政府が提案する2つの改正案が「国民の和解につながり、国民のためになるものである」と話し、政府案の優位性を説明すると共に、プアタイ党の提案を明確に切り捨てる姿勢を示しました。

これに対しては、プアタイ党のスラポン議員が「(政府案は)アピシット首相と、与党にだけ利益のある案だ。」と、厳しく非難して、問題点を以下のように説明しています。

国際協定の締結における国会の承認を定める憲法190条の改正を求める政府案は、カンボジアとの国境取り決め協定や、中国との高速鉄道計画における協定などにおいて、国会の力を削ぐことを目的としていると、スラポン議員は指摘しました。

また、選挙制度を定める憲法93条および98条の改正案では、大選挙区制から小選挙区制への意向を求めていますが、これは民主党およびPADにより組織された新政治党が選挙で優位になるための戦略だと非難しています。

国会の外では、あらゆる改正案も容認できないとして、黄色軍団PADが大規模デモ集会を行いました。

タイ国会では本日24日も、憲法改正案についての審議が続けられます。