バンコクの日本人街と言われるスクムビット地区において日本人を対象とした居酒屋やカラオケスナックなどを展開する田舎っぺグループにおいて、先月11月中旬、従業員による義捐金使い込み騒動が発覚した。義捐金を使い込んだとされるのは、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」でも取り上げられ、”ふくちゃん”の通称で知られる福井氏である。

義捐金の使い込み疑惑が発覚したのは、先月11月22日前後のことだ。田舎っペグループの寿司店「さざえ」に保管されていた東北地方太平洋沖地震の被災者向け義捐金が、福井氏によって使い込まれたことが確認されたのだ。もちろん、この段階では、社内のごく限られた人間しか知りえない事実であった”義捐金使い込み疑惑”が、2つのルートを通じて社外に漏れ、広く世間に知られることとなった。

まず第一に、福井氏本人が友人・知人らに対して送付したメールである。このメールの中で福井氏は、使い込んだ義捐金を補填するため、カンパを求めている。(詳細については、こちらを参照)。また、現在では「ノーコメント」を貫いている田舎っぺグループのオーナー杉森氏が、使い込み発覚当初、同じく友人・知人らに対して、事件の全容を素直に話していた。これが、第二のルートである。

今回、バンコクの居酒屋「田舎っぺ」にからむ義捐金詐取疑惑について連載するにあたり、まずは、オーナー杉森氏自身が、様々な友人・知人らに対して語った内容をまとめ、全容解明の足がかりとしたいと思う。
疑惑の発覚直後、杉森氏は、「ふくちゃんが義捐金を着服した。ふくちゃんを30発ぐらい殴った。今は、さざえの4階に監禁している。」と、電話を通じて、知人に対して話している。また、杉森氏の友人・知人ら複数名が、同じ内容について、杉森氏から直接聞いたと証言しており、杉森氏の言葉であることは間違いなさそうである。一方、福井氏の取り扱いについては、杉森氏は当初から「警察には突き出しても、使い込まれた義捐金が返ってくるわけでもない」と語り、警察への通報などを行わない考えであったことが分かっている。

なお、福井氏は、先月22日から、寿司店「さざえ」の4階に、外からドアの鍵を閉められ、監禁されたままの状態が続いている。ただし、携帯電話およびインターネットは利用可能な状態である。

次に、今回の騒動の発端である同グループによる東北地方太平洋沖地震のチャリティーイベントに関連した杉森氏の発言について、漏れ伝わっている内容をまとめてみたい。杉森氏が、友人・知人らに対して、イベント関係者を評して語った内容は、以下のようなものである。(カッコ内は全て、杉森氏の発言。)

・義捐金チャリティーTシャツのデザインなどをしたTLSのポンパン先生に対して、「騙された」
・イベントを後援した在タイ日本国大使館に対して、「大使館の義捐金送付先は怪しい。信用できない。」
・イベント会場を提供したエンポリアムに対して、「(エンポリアムの)スタッフが会計を間違え、義捐金がゼロになった」

これまでの調べによると、これらの内容は、ポンパン先生、大使館、エンポリアムに対しては直接語られておらず、あくまで友人・知人らに対して話をするに留まっている。

このイベント自体、田舎っぺグループ単体では開催が事実上不可能なものであり、当時の杉森氏の言葉に賛同した人々の協力によって実現したもののはずなのだが、イベントが終わってしまえば、あらゆるイベント関係者について文句(陰口)を言い、自身の正当性ばかりを主張する態度には、呆れ返るばかりである。

事件発覚から数日後、田舎っぺグループ(杉森氏および福井氏)は、使い込まれた金が「義捐金ではなく、マグロ買い付け用の会社の資金」であったと、突然のように言い出した。福井氏を監禁してからの3日間ほどは、ずっと杉森氏自身の口から「義捐金を着服された」との発言があるにも関わらずだ。

次回は、バンコクおよびチェンマイで行われたチャリティーイベントについて、現在把握している内容について、「どうして長期間に渡って、私企業の金庫に、義捐金が保管されていたのか」などの疑問点について、まとめたいと思う。


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