JETROが10月26日に発表した「ミャンマー農業機械・資材市場調査(2013年10月)」が面白いです。

標本数が、農家4軒、農業製品輸入会社12社、卸売業者8社、輸送業者および通関職員4名と、やたらと少数を対象に行われた調査なので、実際のデータとしての価値は低いような気がしますが、レポートで頻繁に出てくる中国製品に対するミャンマーの農民の意見など、注目に値する項目がいくつかあります。

とにかく人気がない中国製品・・・。

例えば、肥料に関する項目では、ミャンマーの農民の意見として、「品質が良くないので、中国製肥料は使いません。私たちの村落では、中国製肥料は人気がありません。中国製の偽物の肥料を使ったことはあります。」 というコメントが掲載されています。

 これまでミャンマーの地方にも何度も足を運んでいますが、毎回のように聞かされるのが中国や中国人に対する文句です。ほぼ100%の確率で、中国への不満を聞かされます。

とはいえ、中国製品は安いし、他の選択肢もない・・・。

中国製品を快く思っていない農民でさえ、価格面の魅力から中国製品を選ぶことが多いようです。また、そもそも、中国製品以外に選択肢がないというのも実情のようです。

価格が低いため、中国ブランドに対する需要は高い。一般的に、中国製品は広く流通しており、多くの農家が入手できる(他の製品は入手できないこともある)。 」

農業肥料を変更することは、農家にとって大きなリスクを伴うため、新製品を気軽に購入する農家は少ないのが、肥料という商品の特性だそうで、これまで10年以上に渡ってミャンマー市場で独占的地位を築いてきた中国製品は、しばらくの間、優位性を維持するものと思われます。

また、ポンプに関する農家の認識では、「価格が手頃なため、中国ブランドは人気がある。中国ブランドの方が、ミャンマーのブランドより品質が良いと言う農家もいる。」ということで、やはり中国製品には価格競争力があります。

タイ製品は、ミャンマーの農家に人気がある

中国製品以外では、タイ製品に関する以下の記述が興味深いです。

タイは近いため、輸送費用も低い。タイとミャンマーの農作業条件は近い(気候が近い)ため、タイの農薬を信頼している者が多い。

まぁ確かに、気候条件や生産作物などが似通っているタイの農薬などは、ミャンマーで使用しても同じような効果が得られるはずなので、この意見は理に適ってますね。

農業の分野でも、ミャンマーにおけるタイの存在感は増して来そうです。

感想

農業に関するレポートということで、あまり期待してませんでしたが、ミャンマー国内における中国製品に関する認識のほか、流通事情などについてもヒアリングが行われていて、とても参考になりました。

ミャンマーに関するビジネスには、とても有益な情報が豊富なレポートだと思います。