バンコクの夜の歓楽街タニヤを代表する居酒屋『酒の店』の石井りょうじさんインタビュー第二弾です。

第一回では、りょうじさんがイギリスに12年間も留学していて、しかも、専攻がグラフィックデザインだったという話を聞きました。

では、早速、その続きです。

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― イギリスで仕事をする気にはならなかったんですか?

本当はイギリスの企業でインターンをするつもりでいたんですけど、バンコクでもグラフィックデザインの仕事が多くあるらしいという話を聞いて、タイに帰ってきました。

― でも、タイの企業の仕事は、報酬が安かった。

そうです。だから、タイに戻って1年くらい経ってから、『エラワン』という名前の日本食レストランを始めたんです。

― やっと飲食業界に足を踏み入れるわけですね。

はい。 日本食レストランを経営するなかでもグラフィックデザインの能力も活かせたし、厨房で働いてもらっていた職人さんから料理の技術を学ぶことも出来ました。

― 店を始めてからは、順風満帆でしたか?

えーっと、いや、 何となく仕事が好きになれなくて・・・

なんていうか親の七光りじゃないですけど、オヤジに面倒を見てもらってるのが嫌で・・・

― あ、そうなんですね。

だから、店をオープンして2年くらい経った頃なんですけど、ちょうど結婚したんでハネムーンに行くって言って、イギリスに旅行に行って、そのままタイに帰らなかったんですよ。

― イギリスに留まったんですか?

いや、イギリスのあとに日本に行って、日本で就職しました(笑)

― 日本で就職?日本に住んだこと無いですよね?

ですね。タイで生まれて、イギリスに行ってたんで、日本には住んだことがなかったです。

だから、就職活動は本当に大変で、何社も何社も断られて、面接を受けながら日本のやり方を勉強していった感じですね。何度も断られているうちに、なんとかコツが掴めて、採用してもらえました。

― 何の会社ですか?

パッケージとかのデザインをする会社です。

― また、グラフィックデザインに戻ったんですね。

はい、そうです。

カネボウさんの子会社のデザイン事務所で、いろんな大きい仕事もさせてもらえました。

― それはラッキーですね。

そうそう、ほんとラッキーでした。

自分がやった仕事でも、全部ディレクターさんの名前で表に出るんですよね。こういうのを体験して、日本の会社の仕事のやり方とかを勉強できました。

― で、どうしてタイに戻ってくることに?

家出状態だったんで、オヤジと仲が悪い感じだったんですけど、オヤジと日本で会って話をして、タイに戻ることにしました。

― そして、『酒の店』に?

いや、タイに戻ってから、あと2年くらいは『エラワン』の仕事をしました。
 
2年経って、もう閉めたほうが良いだろうって感じになって、それで『酒の店』に入りました。



<つづく>